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日本に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 Vol.12 奈良県・奈良市

SUMMARY

  1. ・古から変わらぬ時の流れの神秘に浸り癒やされるホテル
  2. ・奈良ゆかりのリンの音色と和漢ハーブで、心身の巡りを整える
  3. ・まとめ


世界中のホテルスパを取材し、各地の健康や美のルーツを体験し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。  

今年は毎月、日本の1地域にフォーカスを当て、その土地に根づく“おばあちゃんの知恵袋”的なウェルネスメソッドを、温泉やスパトリートメント、文化体験などから紐解いていきます。
  
その土地の健康法や癒やし、滋味あふれる食事について探りながら、日本を一緒に旅してみませんか?  
今回は、奈良市内、東大寺や興福寺、春日大社などの世界遺産に囲まれた吉城園周辺地区に、今年8月に開業した「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」です。 


古から変わらぬ時の流れの神秘に浸り癒やされるホテル


歴史と伝統、豊かな緑があふれ、日本初の都・平城京がつくられた奈良。佇んでいるだけで、古から続くたおやかな時の流れを感じることができます。

名勝地「奈良公園」の西端に立つ「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」は、“伝統と現代の結び”をコンセプトとし、紫幹翠葉(=山々がみずみすしく青々と美しい様子)な情景に出合える、ロマンあふれるホテルです。

日本庭園と調和するホテル全体のデザインとインテリアは、建築家の隈研吾率いる隈研吾建築都市設計事務所が担当しました。


メイン棟は、大正時代に建てられた「奈良県知事公舎」を改装。昭和天皇が「サンフランシスコ講和条約批准書」に署名された「御認証の間」も現存しています。


かつて客間として使われたところはレストランに、蔵は鮨&バーとして蘇りました。
宿泊棟は、メイン棟から小道を挟んだところに新築。

肌にやさしく、さらっとした感触の単純温泉の湯を楽しめる客室に滞在すれば、いっそうノスタルジックな安らぎ時間を堪能できるはずです。



奈良ゆかりのリンの音色と和漢ハーブで、心身の巡りを整える


「SUI Spa」は、昭和初期に建てられた洋館の跡地にあり、そのデザインを踏襲した空間には、天然温泉の露天風呂付きのトリートメントルームが2室あります。

古より奈良の人々は、シルクロードからこの地に受け継がれ、日本の風土や気候に合わせて発展した和漢ハーブを用いて、人間の生命活動に必要な「気・血・水」を巡らせ、健康を維持してきました。

シグニチャートリートメントの『音薬』では、音と和漢ハーブのパワーで、全身のエナジーバランスを整えていきます。最初に香で気を整え、ヒーリングボウルとしても使用される仏具・リンを、エナジーポイントにのせて響かせ、体や脳の波動の調整が行われます。


続いて、大和当帰、紅花などの和漢ハーブをブレンドした3種類のオイルから、ひとりひとりの体調に合ったものを選び、ゲストの好みに合わせた圧で、全身のマッサージが行われます。

トリートメント後は、頭や目元がすっきりとします。日ごろのデジタル疲れを解消できるでしょう。



まとめ

目まぐるしく時が移り変わる現代においても、奈良の人々は、自然と日本文化の礎が形成された土地への敬意を大切に生きています。

ゆるぎない安心感が漂うこの地を訪れれば、心身の落ち着きを取り戻し、地に足をつけて前進する英気を養えるはずです。


皆さん、今年もこの連載をご愛読ありがとうございました。来年は新たな視点で、引き続き各地の魅力をお伝えしていけたらと思っております。どうか心温まる年末年始をお過ごしください。


紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良
Shisui, a Luxury Collection Hotel, Nara

奈良県奈良市登大路町62番地
℡ 0742-93-6511
料金:1室¥126,500〜(税・サ込、食事別)
スパ:『音薬』瞑想・ボディオイルトリートメント・ヘッド 110分¥43,643(税・サ込)
アクセス:近鉄 奈良駅から徒歩約15分、タクシーで約5分。JR奈良駅よりバス「県庁東」下車 徒歩約3分。
https://www.suihotels.com/shisui



トラベル&スパジャーナリスト  
板倉由未子  
Yumiko Itakura
『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。また、昨年11月から始まった日本政府観光局のグローバルキャンペーンでは、リラクゼーション分野の専門家として、日本の癒やしについて語っている。Expert Insights Go Deep Into Japan

photos:Yumiko Itakura  


早いもので四季も一巡、お届けしてまいりました。いかがでしたか。みなさまこれまでお読みいただきましてありがとうございました。 
2024年からは、国内外の各地でその土地を愛し、生き生きと健やかに毎日を過ごされているさまざまな職業のかたに板倉由未子さんがインタビューをする新連載がスタート。日々の生活のヒントとなるような気づきを、ぜひ楽しみになさってください。




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