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日本に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 ~美を紡ぐ人々 Vol.2 京都府・京都市 セラピスト 仙頭和子さんが考える、多様性を楽しむ精神とは

SUMMARY

  1. ・思い立ったら吉日! いつもピンと心に響く道へと進んできました
  2. ・京都の魅力は“多様性”。伝統文化だけでなく、新しいものを上手に取り入れている
  3. ・楽しむことを忘れずに、一期一会を大切にしながら生涯働き続けたい



京都府・京都市 仙頭和子さん
「HOTEL THE MITSUI KYOTO サーマルスプリング SPA」チーフセラピスト

せんどうかずこ●1961年、大阪府・大阪市生まれ。1970年に行われた大阪万博をきっかけに海外へ興味を持ち、1998年、オーストラリアの「Australasian College of Natural Therapies」へ。ビューティー&アロマセラピーを学び、2000年に渡英。「Raworth International College of Natural」でアロマセラピーとリフレクソロジーのインターナショナル資格を取得する。2005年、タイへ移り「Six Senses SPA」のホリスティックコンサルタントに。モルディブ・スリランカ・ミドルイーストの担当トレーナーとして、各スパに携わる。2008年に帰国し、東京・福岡・軽井沢のホテルスパなどの勤務を経て、「HOTEL THE MITSUI KYOTO」へ。“生涯現役”をモットーに、京都から世界へスパトリートメントの必要性、ホリスティックケアの大切さを伝え続けている。最近の趣味は占い。


世界中のホテル&スパ、各地に息づく健康や美のルーツ、文化を取材し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。  
今年は、日本各地で、その土地を愛しながら身も心も健やかに生き、美を紡いでいるさまざまな職業の方にフォーカスを当て、その土地から学んだ知恵や明日を前向きに生きるヒントを紐解いていきます。  
それぞれの方のお話から、その土地にも興味をもち、日本を一緒に旅してみませんか?  
今回は、板倉さんが“安心して心身を委ねられる名セラピスト”と語る、京都市にある「HOTEL THE MITSUI KYOTO サーマルスプリング SPA」のチーフセラピスト、仙頭和子さんへのインタビューです。


思い立ったら吉日!いつもピンと心に響く道へと進んできました


板倉
長年、世界各地のウェルネス療法やスパを取材をさせていただいていますが、仙頭さんは、とても印象的なセラピストです。お会いしてトリートメントを体験すると、身も心も落ち着いてリラックスでき、かつ元気が湧いてくるなぁという実感があります。ありがとうございます!まずは、セラピストを目指すことになったきっかけについて教えていただけますか。 

仙頭さん(以下敬称略)
小学生の頃、大阪万博へ行きまして、それ以来、海外への興味が膨らんでいきました。“手に職をつければ、世界中どこにいても働ける”と思い進路を考え、子どもの頃にバレエを習っていたのですが、レッスン後にマッサージをすることが大好きだったことを思い出し、セラピストを目指そうと思ったのです。

板倉
そうでしたか。子どもの頃からの憧れと好きだったことを職業にされたのですね。オーストラリア・イギリス・アジア・中東などでも働かれていた仙頭さん。さまざまな土地に住み働かれてきて、感じられたことはどんなことでしょう。

仙頭
各地にさまざまな伝統や文化、慣習があり、人種も違いますが、世界中、人々が抱えている心身の悩みに大差はないなぁと思いました。そして、みなさん、ご自分を大切にすることを忘れてしまいがちなのです。

板倉
確かに、仕事や家族のケアに追われて、つい自分のことは後回しになりがちですよね。とはいえ、マッサージを受けたり、自分が好きなことだけに没頭できる時間を確保することは心身の健康維持に欠かせないと、私も実感しています。海外での経験を経て帰国され、初めてお会いしたのは福岡でしたね。

仙頭
はい。帰国後、東京におりましたが、新規開業ホテルのスパマネージャーとしてオファーをいただき福岡へ。その後、系列の軽井沢のホテルでも働きました。

板倉
さまざまなご縁をきっかけに軽やかに移動、新たな挑戦をされて…その行動力、素晴らしいです!

仙頭
私は周りの人々に、本当に恵まれてきたと思っています。いつも、先生や仲間、お客様が助けてくれたのです。

板倉
そして、開業前の2019年2月から、現在働いている「HOTEL THE MITSUI KYOTO」へ。どういう思いで京都へ移られたのでしょう。

仙頭
国内外、さまざまな土地で過ごして働いてきましたが、日本の伝統文化、癒やしを、もっと肌で感じてみたいと思いました。そういう意味で京都は最適な場所ですし、このホテルが理念とする“日本の美しさと -EMBRACING JAPAN'S BEAUTY-”、日本ならではの癒やしを提供するというコンセプトに共鳴しました。そして、今後はスパのマネージングというより、セラピストとして、さらに精進していきたいと思いました。

板倉
人生の流れの中で、自分が果たしたいこと、役割、いるべき場所、働き方も変わっていきますね。


京都の魅力は“多様性”。伝統文化だけでなく、新しいものを上手に取り入れている


板倉
実際、京都に住み働かれて、新たな発見はありましたか。

仙頭
早いもので、京都で住み働いて4年になります。京都はいわずとしれた古都で、日本の伝統文化が息づいていますが、同時に新しいものを上手に取り入れていく風土があるなぁと感じています。例えば日本の伝統的な主食はお米ですが、京都は日本有数のパン消費量を誇り、ベーカリーの数も多いのです。クールで排他的な印象があるかもしれませんが、そんなことはないなぁと私は思います。また、東京よりも、京都にはさまざままな国や立場のお客様がいらっしゃっていると感じています。多様性にあふれているところが、京都の大きな魅力だと思います。

板倉
毎日、さまざまな国からのお客様との一期一会を楽しまれているようですね。

仙頭
はい。私がいちばんワクワクしているのではないかと思っています(笑)。お客様が心を楽にして笑顔になってくださることが、私の明日を生きる力になっています。

板倉
仙頭さんのオーラに包まれ、自然に心身をオープンにできるかたは多いと思います。日々の暮らしの中で、心がけていらっしゃることはどんなことですか。

仙頭
できるだけいろいろな年齢、性別、立場のかたに接するように心がけ、お互いにリスペクトできる関係を築けるとよいなぁと思っています。そして、人とのつながりにおいては、素直になることが重要だと思っています。

板倉
具体的には、どのようなことでしょう。

仙頭
“ありがとう”、“ごめんなさい”を表現すること。たとえ相手に自分の気持ちは伝わっていると思えたとしても、表現することが大切だと思うのです。

板倉
人はひとりひとり違うので、多様性を理解し対等な立場で対面できれば、ハッピーな関係ですね。仙頭さんはチーフセラピストとして、後輩に指導されるお立場だと思いますが、チームワークづくりの上で、どんなことを大切にされていますか。  

仙頭
毎朝、ミーティングを行っているのですが、例えば“髪型変えたのね、似合っている!”など、ひとりひとりの変化に気づいて、相手の気分が少しでも上がるような声をかけられるように努めています。

板倉
相手の方は、微妙な変化に気づいてもらえてうれしいでしょうね。何か問題点を指摘をしたり、苦言を伝えなくてはいけない時には、どのようにされていますか。

仙頭
ひとりひとりがキャリアを積んできていますから、プライドもあると思いますし、基本的なことはできていると思います。ですから“こういうやり方もあるよ~”という感じで伝えるようにしています。


楽しむことを忘れずに、一期一会を大切にしながら生涯働き続けたい


板倉
忙しい毎日をお過ごしだと思いますが、そんな中でも、ご自身の健康のために続けていらっしゃることやルーティンはありますか。  

仙頭
徒歩45分以内のところは、できるだけ歩いて行くことにしています。京都は街が碁盤の目のようになっているので、とても歩きやすいです。また、健康維持には体幹の強化が重要なので、週に1回はピラティスのレッスンを受けるようにしています。ルーティンは、トリートメントの前後には、必ず白湯を飲むようにしています。まっさらな心身でお客様をお迎えできるような気がしますし、体調も整うように感じています。


板倉
京都でほっとしたい時に訪れる憩いの場所はありますか。  

仙頭
「紫雲山 頂法寺 六角堂」です。私は動物が大好きなのですが、そこには仲のよい白鳥のつがいがいて、眺めているだけで癒やされ、雑念を取り払うこともできるのです。あとは、ホテル内の回遊式庭園ですね。日々、植物の成長や変化を感じられて楽しいです。


板倉
国内外で、今後訪れてみたい場所はありますか?   

仙頭
父が高知県の出身なのですが、実は一度も訪れたことがないのです。四国には“仙頭”という苗字も多いようなので、ルーツ探しも兼ねてゆっくり旅してみたいです。海外ならチュニジアですね。TVのドキュメンタリーで観たのですが、タラソテラピーが盛んで、伝統陶器がとても美しくて惹かれました。  

板倉
今後の夢について教えてください。 

仙頭
楽しむ心を忘れずに、いつまでもワクワクすることを見つけていきたいです。まずは自分自身がいつも笑顔で、人に対してやさしく、トントンと背中を叩いてあげられる存在でありたいです。そうあるためには、心身ともに強くなくてはいけませんね。

板倉
好きなことを続け、ワクワクすることを見つけ、ピンときたら動いてみること。私も仙頭さんに倣い、大切にしていきたいと思います。元気と勇気をいただいた読者の方も多いと思います。今日はありがとうございました。 


HOTEL THE MITSUI KYOTO
日本ならではの安らぎに出合える優美なホテル 


「HOTEL THE MITSUI KYOTO」は、世界遺産・二条城を目前に望む三井総領家ゆかりの地に位置しています。日本の伝統的な美意識である“四季折々の自然美を人と分かち合う”という精神が息づくホテルです。全160室の客室は平均50㎡以上とゆったりとしていて、二条城、または美しい回遊式庭園の景色を堪能できます。

「サーマルスプリング SPA」には、敷地の地下1,000mに沸く天然温泉「サーマルスプリング」のほか、トリートメントやプライベート温泉を擁するラグジュアリーな空間が広がっています。

昨年の連載でご紹介したウェルネスパッケージプラン『SPA Indulgence - 温泉養生ジャーニー』の他、体験すべきは、昨年10月から始まったボディ&フェイシャルトリートメント『時 パールセレニティリチュアル』。東洋医学の考えを基に、MIKIMOTO COSMETICSがホテルのためだけにプロデュースしたメニューです。
古くから高貴さの象徴、邪気払いの品として尊重されてきた真珠のパワーに満たされ、日本の美しさを体感できます。真珠の成分と天然塩による真珠塩のフットバスリチュアルから始まり、施術後には、パールパウダーを配合したオリジナルティーが提供され、心身のバランスが整います。

https://www.hotelthemitsui.com

アクセス:JR京都駅から車で約15分。地下鉄東西線「二条城前」駅から徒歩約3分、地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅 から徒歩約10分。



トラベル&スパジャーナリスト
板倉由未子
Yumiko Itakura

『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。また、日本政府観光局のグローバルキャンペーンでは、リラクゼーション分野の専門家として、日本の癒やしについて語っている。Expert Insights Go Deep Into Japan

photos & realization: Yumiko Itakura  




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