ビタミンで整える冬の睡眠
SUMMARY
- ・ホルモンと自律神経の乱れが、冬の睡眠の妨げに
- ・「ビタミンB12+葉酸」で眠りのリズムを整える
- ・「ビタミンD」が不足すると睡眠の質が損なわれる
- ・良質な睡眠のために、避けるべき食品は?
- ・まとめ
12月に入って寒さが急に増してきました。日も暮れるのが早くなり、夜が長く感じられます。
そのため、冬は夏に比べて睡眠時間が長くなる傾向。なのに「すっきりと起きられない」「寝ても寝ても眠い」と感じる人が多いそうです。
今回は改めて冬はなぜ睡眠が上手に取れないのか、また栄養面で工夫できることはないのかを、アルゴメディカルサロンの管理栄養士である長谷川由季さんに伺いました。
ホルモンと自律神経の乱れが、冬の睡眠の妨げに
中医学では、“冬は養生の季節”と言われていて、夏よりもたくさん睡眠を取ったほうが体に良いとされています。
「でも多くの方の睡眠の質が下がってしまう季節でもあるのです」と長谷川さん。
その理由の一つが日照時間の短さにあります。
「睡眠を司るホルモンで有名なのがメラトニン。その分泌は光によってコントロールされており、朝と日中に太陽をきちんと浴びていないと、夜に十分なメラトニンが作られないのです。つまり日照時間が短く、太陽の光も弱い冬の間は、寝づらく、また睡眠の質が下がりやすくなります。冬こそ、意識的に太陽の光を浴びることが必要です」
そして冬ならではの自律神経の乱れも睡眠の質を下げる原因に。
「もともと夏よりも冬のほうが1日の気温差が大きいのに加え、現代社会では暖房があることによってさらに気温差が生じます。これが自律神経の乱れにつながり、睡眠の質を落としてしまうのです」
自律神経の乱れを整えるためにも、外出時の服装を暖かくして体温調節を行ったり、軽い運動を習慣づけることが大切だそう。
「ビタミンB12+葉酸」で眠りのリズムを整える
「食事によっても睡眠の質は変えられる」と長谷川さん。
なかでも注目している栄養素がビタミンB12です。
「光感受性を高め、睡眠を促進して体内時計を整える作用があると言われています。食品では牛肉や魚介類など、動物性たんぱく質に多く含まれていますが、食事の消化・吸収、分解・代謝には個人差があるので、足りていない人も多いかもしれません。実際に私のケースですが、サプリメントで補ったところ睡眠の質が格段に上がりました」
また、ビタミンB12と一緒に摂りたいのが葉酸。
「妊婦さんに必要な栄養素というイメージが強いかもしれませんが、ビタミンB12と一緒に働く特徴があります。貧血を予防して血流を改善するので、手足が冷たくて眠れない末端冷え性の方にもおすすめです。ただし人によっては、ビタミンB12と葉酸は夜に摂ると神経が活性化されすぎて中途覚醒の原因になることも。朝に摂ることをおすすめします」
「ビタミンD」が不足すると睡眠の質が損なわれる
そしてもう一つ注目したい栄養素がビタミンDです。
「ビタミンDと聞くと骨の健康に良い栄養素というイメージが大きいと思いますが、そのほかにもさまざまな作用があることがわかってきました。そのうちの一つが睡眠の質と量への関係です」と長谷川さん。
先ほど日照時間が足りないと睡眠の質が落ちやすいという話がありましたが、ビタミンDはまさに“太陽のビタミン”と言われている栄養素で、太陽の光を浴びることによって作られます。
そして夜に眠気を誘うメラトニンの生成に関わるセロトニンの合成も担っていることから睡眠に影響を与えているのです。
「日照時間の少ない冬はビタミンDの生成が行われにくくなり、どうしてもビタミンDが不足しがちに。するとメラトニンの作られる量も少なくなってしまいます。食品では干しシイタケやキクラゲ、しらす干し、イワシの丸干しなど太陽を浴びた物のほか、シャケ、いくらなどにも含まれます。特に冬の間はこういったビタミンDを含む食材を意識して食べたいですね」
それでも日本人の多くがビタミンDが不足しているといわれています。冬の間だけでもサプリメントで補うのがベターです。
良質な睡眠のために、避けるべき食品は?
「睡眠の質を上げる食品もあれば、その逆もあります。特にカフェインがその代表。コーヒー、紅茶、緑茶のほか、チョコレートなども覚醒につながることがあり、睡眠の質を下げる寝る前は避けたほうが良いでしょう。ちなみに私はお昼以降にコーヒーを飲むと、あまり眠れなくなります」と長谷川さん。
コーヒーなどのカフェインがあるものを摂るのなら、朝がベスト。午後以降、どうしてもコーヒーが飲みたくなったらデカフェに。
紅茶や緑茶はノンカフェインのお茶やハーブティにご自身の体調や体質に合わせて、食べるものやタイミングを選ぶことが、良い睡眠・休養につながっていくと考えています。
「また、眠る前に水分やカリウムが多く含まれる野菜や果物をたくさん食べると、夜中にトイレに起きてしまう原因にもつながります。ただしミネラルのバランスは質の良い睡眠にはとても大切ですので、やはりバランスの良い食事がとても大切です」
これから年末年始に向けて気になるのがアルコールです。
「アルコールは入眠には良いのですが、睡眠りの質を下げてしまいます。利尿作用もあるので、夜中にトイレに行きたくなってパッと目が覚めることもあるでしょう。とはいえ、年末年始はアルコールの機会も多いと思うので、上手に付き合っていきたいですね。またパーティーシーズンはついつい食べすぎてしまいがちに。胃腸に負担がかかると睡眠の質が下がります。特に動物性たんぱく質や脂質を眠る前に食べると消化・吸収に良くなく、起きてからの倦怠感にもつながるので適度にしましょう」
まとめ
良質な睡眠のためには、ビタミンB12、葉酸、ビタミンDを摂ることが大切だということがわかりました。忙しさが増してくる年末年始に向けて、良質な睡眠でしっかり体を休めたいもの。ビタミンサプリメントを味方につけて、健やかにお過ごしください。
長谷川由季さん
アルゴメディカルサロン・管理栄養士。体調に悩みを抱えている方や、健康状態に悩みはないが、さらなる自分への投資としてパフォーマンスアップを望む方など、一人ひとりと向き合い、それぞれに合ったオーダーメイド医療を一緒に作っていくアルゴメディカルサロンで、栄養部分での細かな指導に当たっている。