吸収率がカギ!「カルシウム」の効率的な摂り方とは?
SUMMARY
- ・性別・年齢問わず重要な「カルシウム」
- ・日本人はカルシウム不足。その原因とは?
- ・カルシウムを助ける「ビタミンD」
- ・不足しがちなビタミンD。冬こそ積極的に
普段から「カルシウム」、しっかり摂れていますか?
カルシウムというと、骨の形成や子どもの成長に必要なイメージがあると思いますが、年齢や性別問わずしっかり摂るべき栄養素。
そんなカルシウムの重要性と、効率的な摂取方法についてのアドバイスを、小児科医の大井美恵子先生に伺いました。
大井美恵子 先生
「女医によるファミリークリニック」院長。小児科医。子どもの心相談医。
「家族みんなを診察できるクリニックをつくりたい」という思いを実現するため、広島県・広島市にクリニックを開業。一般小児科の症状をはじめ、登校拒否や心の問題、受験に関する相談まで幅広く対応している。
女医によるファミリークリニック|公式サイト
性別、年齢問わず重要な「カルシウム」
──なぜカルシウムは重要なのでしょうか?体の中の役割について教えてください。
カルシウムは骨や歯、骨格作りに非常に重要です。
加えて脳などの「神経」の伝達にも大きく関わっており、カルシウムが不足するとイライラしやすくなります。
カルシウムは性別、年齢に関係なく、あらゆる世代がしっかり摂っておいてほしい必須の栄養素。それぞれ解説していきます。
◾️子ども × カルシウム
子供にとってカルシウムは、骨格の形成や、身長や体重の増加を健康的に促進させるために、欠かせない栄養素です。
また神経伝達に関与し、学習能力や集中力をサポートします。
私のクリニックではいろいろなお子さんの診察をしていますが、カルシウムが不足している子どもは身長が低かったり、歯がボロボロだったり、イライラしやすく落ち着きがない印象です。
最近では、食生活の影響からカルシウム不足のお子さんが増えているので心配ですね。
◾️男性 × カルシウム
男性がカルシウムを摂取する一番のメリットは、筋肉と神経の機能向上とホルモンバランスのサポートです。
カルシウムは筋肉収縮や神経伝達に関与するため、日常の身体活動や運動能力を高めます。加えて男性ホルモン(テストステロン)の正常な分泌に間接的に関与する可能性があり、健康的なライフスタイルを支えます。
◾️女性 × カルシウム
女性にとって、カルシウムの摂取は、骨密度維持のために特に重要です。
ダイエットをしている方や、特に閉経後はエストロゲンの減少で骨密度が急激に低下するため、骨粗しょう症になりやすいので要注意!
言わずもがなですが、妊娠/授乳期の健康維持にもカルシウムは欠かせません。
妊娠中や授乳中の女性は、胎児や乳児の成長のために多くのカルシウムを必要とします。十分な摂取は母体と子どもの健康を守ります。
日本人はカルシウム不足。その原因とは?
日本人はカルシウム不足の方が多いですね。
カルシウムは乳製品、魚介類、豆類に多く含まれていますが、そのようなカルシウム豊富な食事をしている人が少なくなっているためです。
また、子どもたちのカルシウム摂取が少ないのは問題ですね。
最近だと、乳糖不耐症などの観点から「牛乳を飲ませたくない」という親御さんが増えており、給食の牛乳を止めてほしいという方も。
牛乳にはカルシウムが多く含まれているので、カルシウムを摂るチャンスが減ってきていることが、不足の原因かと思います。
もし牛乳を飲まないのであれば、食事でしっかりカルシウム補給しましょう。
◾️カルシウムが多く含まれる食材
・魚介類(干しエビ、シラス、小魚など)
・海草類(わかめ、昆布など)
・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
・大豆製品(豆腐、納豆)
──カルシウムを摂りすぎると、なにか弊害はありますか?
いくつか注意点があり、カルシウムは摂りすぎると結石ができやすくなります。
また、過剰に摂ることで、鉄分や亜鉛の吸収を阻害する恐れも。1日の摂取量を守って摂りましょう。
カルシウムを助ける「ビタミンD」
カルシウムは積極的に摂ってほしいですが、単体だと吸収率がすごく低いんです。摂ってもすべてが吸収されないのが難しいところ。
その吸収をグンッと上げてくれるのがビタミンDです。
よく健康診断などで「カルシウムは摂っているのに、骨密度が低いと診断された」という声を耳にします。
骨密度が低いと診断されたら、みなさん「カルシウム不足だ!」と思いがちですが、実はカルシウムの吸収がうまくいっていないだけかもしれない。
カルシウムの吸収をサポートするのは、タンパク質やビタミンDなので、一緒に摂ることをオススメしています。
ビタミンDは大事な栄養素ですが、その役割について知らない方がほとんどです。
私は患者さんに「Lypo-C Vitamin C+D」をお勧めすることも多いのですが、「なぜビタミンDが必要なんですか?」はよく聞かれる質問。
その際は、ビタミンDは冬の体調管理に必須なことや、カルシウムと一緒に摂ると良いことを説明しています。
不足しがちなビタミンD。冬こそ積極的に
カルシウムもそうですが、ビタミンDもみなさんが不足しがちな栄養素。
1日の摂取目安は600〜800IUですが、ほとんどの方は不足しがちです。
──おっしゃる通り、ビタミンDは98%の人が不足しているという調査*も。
*出典:98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当(東京慈恵会医科大学)
そうなんです。必要な一方で、ご自身がビタミンD不足かどうかは、血中濃度を測らないと正確な測定は難しい。
ですので、普段から太陽を浴びていないという自覚がある方は、積極的に摂った方が良いと思います。
例えば、私のクリニックの近くに海上自衛隊があり、隊員の方を診察することも多いのですが、なかには潜水艦に潜ったりと、太陽に当たらない方も多いため、彼らにビタミンDを勧めています
私自身も、普段からケアのために「Lypo-C Vitamin C+D」を飲んでいるのと、クリニックの冷蔵庫にも常備していて、スタッフにも配っています。いまの寒い時期の体調管理を支えてくれる心強い存在ですね。
カルシウムもビタミンDも、生きていく上で必須の栄養素。ぜひ不足しがちな方は意識的に摂ってみてください。