日本に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 Vol.9 三重県・伊勢志摩
SUMMARY
- ・日本屈指の聖地に佇む清麗なリゾート
- ・古来伝わる和漢植物を用いた、季節に適したトリートメントを体感
- ・まとめ
世界中のホテルスパを取材し、各地の健康や美のルーツを体験し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。
今年は毎月、日本の1地域にフォーカスを当て、その土地に根づく“おばあちゃんの知恵袋”的なウェルネスメソッドを、温泉やスパトリートメント、文化体験などから紐解いていきます。
その土地の健康法や癒やし、滋味あふれる食事について探りながら、日本を一緒に旅してみませんか?
今回は、2016年に日本で2番目のアマンとして開業し旅をこよなく愛する人々に支持されている、三重県・伊勢志摩にある「アマネム」についてです。
日本屈指の聖地に佇む清麗なリゾート
太古から日本人の心の故郷として崇められた三重県・伊勢志摩は、伊勢神宮をはじめとする日本史の原点です。国内有数のパワースポットで、世界遺産にも登録されている熊野古道へもアプローチできます。2016年3月、神聖なこの土地の英虞湾を望む国立公園内の一角に「アマネム」はオープンしました。
その名は、サンスクリット語で“平和なる”を意味するアマンと、日本語で“歓び”を意味するネムに由来しています。建物はケリー・ヒル・アーキテクツが担当。平屋造り、屋根瓦、炭色の杉木の外壁など伝統的な日本民家からインスピレーションを得て、シンプルかつモダン、そして自然素材の温もりを感じる空間を完成させました。
客室は99㎡のスイートと2ベッドルーム366㎡のヴィラという2つのカテゴリーで、それぞれ、4つの異なるビューをもつツキ、ソラ、モリ、ナギに分かれています。床から天井までの大きな窓、部屋の隅々まで開けられる障子が採用され、控えめな色調のインテリアが景色の美しさを引き立てています。また、全室に温泉が引かれています。
ダイニングでの食事は、古代より朝廷や神宮に海産物や穀物を献上していた御食国(みけつくに)としての伝統が受け継がれています。地元の豊かな食材に、日本全国から取り寄せた逸品を加え、和食の域に留まらない、独創的な品々を堪能できます。
古来伝わる和漢植物を用いた、季節に適したトリートメントを体感
スパではトリートメント、リラクゼーション、エクササイズ、ニュートリションなど、ホリスティックな見地から、ウェルネスの向上を提案しています。2000㎡の広大な敷地を誇り、スイムウェアを着用して入るサーマル・スプリングがあります。トリートメント開始の60分前にはここへ到着し、四季折々の自然風景を楽しみながらリラックスすることをおすすめします。
体験すべきトリートメントは、季節ごとに心身が必要とする和漢植物を使う「アマネム シーズナル ジャーニー」。秋は地元産のマコモダケのハーブボールで胃腸を整え、月桃と紫蘇のオイルで体の中から元気に。冬は小豆のハーブボールで、生姜とポンカンのオイルで、体を芯から温めます。150分のトリートメントでは、さらに地元産の海藻とクレイのパックも含まれ、いっそうリフレッシュすることができます。
まとめ
暑さもようやく落ち着き、過ごしやすくなってきました。一方、肌の乾燥や抜け毛が気になり、人恋しさも感じ始める時期です。乾きに悩まされる秋冬は、アマネムでミネラルが豊富なナトリウム塩化物温泉やトリートメント、海の幸があふれる伊勢志摩の食事を満喫しながら、しっかりうるおいをチャージしてみてはいかがでしょう。さらに、パートナーや家族、気の置けない友人と、時間を気にせず語り合えば、心身ともに温もりに包まれ、明日への英気を養うことができるはずです。
アマネム
AMANEMU
三重県志摩市浜島町迫子2165
℡ 0599-52-5000
室料:ソラスイート 1室 ¥227,700~(税・サ込)
スパ:アマネム シーズナル ジャーニー 90分¥54,000、150分¥82,000(ともに税・サ込)アクセス/近鉄志摩線賢島駅から送迎車で約20分。
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amanemu
トラベル&スパジャーナリスト
板倉由未子
Yumiko Itakura
『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。また、昨年11月から始まった日本政府観光局のグローバルキャンペーンでは、リラクゼーション分野の専門家として、日本の癒やしについて語っている。Expert Insights Go Deep Into Japan
photos:Yumiko Itakura