ビタミンEを多く含む食べ物は?体内での働きや摂取のポイントも紹介
SUMMARY
- ・ビタミンEが豊富な食べ物
- ・ビタミンEに関する知識
- ・ビタミンEと一緒に摂ることで相乗効果が期待できる栄養
- ・ビタミンEを摂取する際のポイント
- ・まとめ
ビタミンには主に13種類あります。すぐに名前があがるビタミンCなどと比べ、ビタミンEはよく知らない方もいるのではないでしょうか。
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれる重要なビタミンです。本記事では、ビタミンEが豊富に含まれる食べ物や、一緒に摂取することで相乗効果が期待できる栄養などについて紹介します。
ビタミンEが豊富な食べ物
ビタミンEはさまざまな食物から摂取できるため、一般的には不足しづらいビタミンです。普段食べているものには、どの程度のビタミンEが含まれているのでしょう。
ここでは、ビタミンEが豊富に含まれている食べ物と、それぞれの一般的な含有量について紹介します。
● 種実類
ナッツや種子などの種実類には、ビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは脂溶性のため、脂質豊富なナッツ類で摂取すると吸収効率が高まります。
ビタミンEの一日あたりの摂取基準は約6.5mg前後です。通常の食事では大幅に上回ることは考えづらいですが、摂り過ぎには気を付けましょう。
アーモンド ・・ 30mg
ヘーゼルナッツ ・・ 15.9mg
ひまわりの種 ・・ 12mg
チアシード ・・ 11mg
*可食部100gあたりの含有量
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
● 油脂類
ビタミンEは、一部の油脂類にも豊富に含まれています。調理に使うだけでビタミンEの摂取ができるため、効果的な一方で油は傷みやすいという特徴も持つため注意が必要です。
古い油は摂取効率に影響があるだけでなく、体の不調を招く可能性もあります。できる限り新鮮な油脂類を用意しましょう。
ひまわり油 ・・ 39mg
紅花油 ・・ 27.4mg
こめ油 ・・ 26.1mg
オリーブ油 ・・ 14mg
*可食部100gあたりの含有量
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
● 野菜・果物
ビタミンEは野菜や果物からも摂取でき、特に緑黄色野菜には多く含まれています。前述の通り、ビタミンEは脂溶性で、単体で食べるより油と調理するほうが効率よく摂取できるため、炒め物にすることもオススメです。このほか、キウイフルーツやしそにも多く含まれています。
モロヘイヤ ・・ 6.5mg
西洋かぼちゃ ・・ 4.9mg
赤ピーマン ・・ 4.3mg
アボカド ・・ 3.3mg
*可食部100gあたりの含有量
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
● 魚介類
ビタミンEは、動物性の食品からも取り入れられます。ただし、肉類には含有量が少ない傾向にあります。
魚介類は、ビタミンEが豊富に含まれているため、魚を取り入れた食生活にすると、ビタミンEを健康的に摂取できるでしょう。
魚介類以外の動物性食品だと、鶏卵の卵黄にもビタミンEが多く含まれています。
すじこ ・・ 11mg
ツナ缶 ・・ 8.3mg
たらこ ・・ 8.1mg
うなぎ ・・ 7.4mg
*可食部100gあたりの含有量
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
ビタミンEに関する知識
前述のように、ビタミンEは日頃の食生活にもなじみ深い食品に多く含まれています。しかし、どのような働きをする栄養素なのかということや、摂取量の基準値については知らないという方もいるでしょう。
ここからは、ビタミンEに関するさまざまな知識について紹介します。
● ビタミンEとは
ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種です。細かく区分すると、αからδまでの4つのトコフェロールと、同じく4つのトコトリエノールという8種類の化合物の総称で、体内に存在するものはほとんどがα-トコフェロールといわれています。
ビタミンEの主な働きは以下の通りです。
・抗酸化作用・・体内の細胞膜や脂質を酸化から守り、老化予防
・血液サラサラ効果・・血中のLDLコレステロールの酸化を抑制
・免疫力向上・・免疫細胞の働きを活性化
このように、体内を万全の状態に保ったり、老化防止の働きをしたりすることから、若返りのビタミンと呼ばれています。
ビタミンEの1日の摂取量の目安
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(2020 年版)」によると、ビタミンEの1日あたり摂取基準目安として次の数値が示されています。
・成人男性:6.5mg
・成人女性:6.0mg(妊娠中や授乳期はやや多めを推奨)
過剰摂取の目安は800 mg/日とされています。過剰摂取の症状としては、血液が止まりづらくなることや骨粗しょう症リスクが高まることが挙げられます。
ビタミンEは便として排出されやすいため、体内に蓄積しづらいということもあり、通常の食品からの摂取では、過剰摂取となることは考えづらいビタミンです。少しでも多く摂取したいということで、サプリメントやビタミン剤を使用するときには、必ず用法用量を守って摂取しましょう。
● ビタミンEが不足するとどうなる?
ビタミンEが不足すると、以下のような症状が現れるとされています。
・溶血性貧血
・筋力低下による歩行困難
・網膜症による視力低下や失明
・免疫力低下や皮膚の乾燥
ビタミンEはさまざまな食品から摂取できるため、一般的には不足しづらい栄養素です。ただし、脂肪の吸収不良を起こす慢性的な疾患を持っている場合、脂溶性ビタミンのビタミンEも吸収効率が下がり、欠乏症が発生する可能性があります。
● ビタミンEを過剰に摂取するとどうなる?
ビタミンEの過剰摂取で発生する症状は、以下の通りです。
・出血傾向が上昇(鼻血、歯茎からの出血、まれに脳出血など)
・肝機能障害のリスク
・骨粗鬆症のリスク
・頭痛、吐き気、倦怠感
・筋力低下
・下痢
ビタミンEは、体外に排出されやすい性質を持つため、通常の食生活において過剰摂取となることはほとんどありません。しかし、サプリメントや健康食品を過剰に摂取すると、上記の症状が現れる可能性があります。
使用時には必ず、用法用量を守りましょう。
ビタミンEと一緒に摂ることで相乗効果が期待できる栄養
ビタミンEに限らず、栄養素は単体で摂るより、ほかの栄養素と組み合わせて摂取することで相乗効果を発揮します。
ここでは、ビタミンEと一緒に摂るとより効果が高い栄養素と、主な食材やおすすめメニューを紹介します。
● ビタミンA・ビタミンC
ビタミンEは、ビタミンA・ビタミンCと併せて「ビタミンACE」と呼ばれるほど、これらの栄養素との親和性が高いことが特徴です。
それぞれ、ビタミンAはレバーや卵黄などの動物性食材やほうれん草やニンジンなどの野菜に、ビタミンCはパプリカやキウイ、柿やいちごなどに多く含まれています。
● 脂質
ビタミンEは脂溶性の栄養素です。そのため、油と一緒に摂取することで、吸収効率が高まります。
ナッツや魚介類からビタミンEを取り入れる場合は、それ自体に脂質が多く含まれています。野菜から取り入れようとする場合は、炒め物や揚げ物にすると、より効率よくビタミンEを取り入れられるでしょう。
このほか、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳脂質と一緒に摂ることもおすすめです。
● セレン
セレンは、必須ミネラルの一種です。過酸化脂質の分解をする抗酸化酵素を構成する成分で、老化やがんを予防する効果があるとされています。
ビタミンEとの相乗効果は高く、この組み合わせのサプリも販売されています。
レバーや魚介類のほか、玄米、キノコ類、海藻類などに多く含まれる栄養素です。
ビタミンEを摂取する際のポイント
ビタミンEは、毎日の食卓で自然と摂取している栄養素です。そのため、一般的な食事での欠乏や過剰摂取は稀だといえます。
余程偏った食生活でない限り摂取量を気にする必要はありませんが、以下のポイントについて注意しておくとよいでしょう。
・光に弱く酸化しやすいので、冷暗所に保管するよう気を付ける
・脂溶性のため、油脂と一緒に摂取する
・ビタミンAやビタミンC、ビタミンB2、βカロテン、セレンなどと一緒に摂取する
これらのポイントを押さえることで、ビタミンEをより効果的に摂取できます。
まとめ
ビタミンEは若返りのビタミンとも呼ばれる、重要な栄養素です。
強力な抗酸化作用を持ち、同様の働きをするほかの栄養素と組み合わせて摂取することで、その効果をより高められます。
あまり意識していなくとも自然と摂取できる栄養素のため、不足することはあまりありませんが、組み合わせについて意識することで、その効果を最大限に受けられるでしょう。
記事監修
水谷皮フ科クリニック院長
水谷治子先生
水谷皮フ科クリニック
東京医科大学卒業。東京医科大学病院皮膚科、都内美容皮膚科クリニックなどを経て2012年、水谷皮フ科クリニック開院。